Wednesday, January 23, 2013

Homemade Translations: Wuthering Heights by Kate Bush

I taught this song to my 3rd-year junior high school students as part of a Halloween lesson.

While an incredibly beautiful song, the lyrics - and the scene from which they're drawn are truly haunting, and leave a very deep impression. While I don't usually go in for romantic literature, Wuthering Heights is a powerful tour de force, truly deserving of the title "classic".





Out on the wily, windy moors
We'd roll and fall in green
You had a temper, like my jealousy
Too hot, too greedy
How could you leave me
When I needed to possess you?
I hated you, I loved you too

Bad dreams in the night
They told me I was going to lose the fight
Leave behind my wuthering, wuthering
Wuthering Heights

Heathcliff, it's me, Cathy, I've come home
I'm so cold, let me in your window
Heathcliff, it's me, Cathy, I've come home
I'm so cold, let me in your window

Oh it gets dark, it gets lonely
On the other side from you
I pine a lot, I find the lot
Falls through without you
I'm coming back love, cruel Heathcliff
My one dream, my only master

Too long I roam in the night
I'm coming back to his side to put it right
I'm coming home to wuthering, wuthering
Wuthering Heights

Heathcliff, it's me, Cathy, I've come home
I'm so cold, let me in your window
Heathcliff, it's me, Cathy, I've come home
I'm so cold, let me in your window

Ooh let me have it, let me grab your soul away
Ooh let me have it, let me grab your soul away
You know it's me, Cathy

Heathcliff, it's me, Cathy I’ve come home
I'm so cold, let me in your window
Heathcliff, it's me, Cathy I’ve come home
I'm so cold, let me in your window
Heathcliff, it's me, Cathy I’ve come home
I'm so cold


繁り放題の、風吹く野原で
私たちは転げまわっていたわ
あなたは私の嫉妬深さに似た気性があって:
情熱的すぎて、貪欲すぎる。
私を置いて行かなくても、
あなたを夢中にさせたかったときに?
あなたを憎んだわ。あなたを愛していたわ。

夜の悪夢。
彼らは戦いに負けそうだって告げるの、
私の吹き荒ぶ 吹き荒ぶ
嵐ヶ丘の後に残して。

ヒースクリフ、私よ…キャシーよ
戻ってきたの。とても寒いの!
私を窓から入れて。

ああ、なんて暗くて寂しくなるの、
あなたから隔てられた違う世界は。
とても恋しい。
あなたなしではダメになってしまう。
私は戻ってきたの、愛しい人。
残酷なヒースクリフ、私のたった一つの夢 
私だけのご主人様

とても長く夜の世界をさまよっているの。
彼のそばへ戻ってきたわ、やり直すために。
帰ってきたのよ 吹き荒ぶ 吹き荒ぶ
嵐ヶ丘へ

ヒースクリフ、私よ…キャシーよ
戻ってきたの。とても寒いの!
私を窓から入れて。

ああ、そうさせて私はあなたの魂を掴み取りたいの。
ああ、そうさせて私はあなたの魂を掴み取りたいの。
分るでしょ、私よ…キャシーよ!

ヒースクリフ、私よ…キャシーよ
戻ってきたの。とても寒いの!
私を窓から入れて。
ヒースクリフ、私よ、キャシーよ。帰ってきたの 
とっても寒いの!


ケイト・ブッシュの「嵐ヶ丘」(Wuthering Heights)です。歌詞の内容は怖いです。死んだキャシーの亡霊がヒースクリフを慕って、魂を奪おうとしています。洋の東西を問わず、天国と地獄、極楽と地獄以外の異界を信じる怪奇伝説、民話が多くあります。中でもイギリスはシェークスピアの物語でも馴染み深い怪奇、幻想の国で、数多くの怪奇談、民間伝承が伝えられています。イギリスではアングロ・サクソン人、ジュート人に比べ、特にケルト人の幻想的、超自然的な性向が強いようです。ですからスコットランドやウェールズ、コンウォールなどはイングランドよりも超自然的な現象を信じる人が多い傾向があります。また、イギリスの厳しい気候と風土が、自然への畏怖を超自然現象を信じる性格を醸成したとも言えます。「嵐ヶ丘」の舞台ヨークシャーはイングランドの北部ですが、森や田園も多く、スコットランドが近いこともあって、エミリ・ブロンテもごく自然に「嵐ヶ丘」にキャシーの亡霊を登場させたのだと思います。

亡霊・幽霊が現世の恋人の前に現れる話は日本人にとっても馴染み深いものです。古事記、今昔物語、日本霊異記、雨月物語などにも見られます。西洋では亡霊・幽霊が出てくる小説はたくさんありますが、日本では明治以降は廃れることになりました。自然主義が至上と考えた文学者たちが、つまらない作り事だと喧伝し排除したためで、ただ一人、泉鏡花のみが超自然的な事柄も文学足りえることを証明しました。話が逸れましたが、イギリス人は今の日本人よりも亡霊・幽霊を信じる人が多いということです。ですからイギリス人にとっては「嵐ヶ丘」のキャシーの亡霊も現実的な怖さがあって、亡霊になってまで恋人を慕う気持ちが身近な感覚で分るのです。
ケイト・ブッシュの「嵐ヶ丘」は内容は確かに怖いのですが、キャシーの愛がどれほど強いものかを表現したものです。主題はもちろんエミリ・ブロンテの原作「嵐ヶ丘」で、いわば「本歌取り」、パロディですが、パロディこそが時代の文化を継承するものであり、「本歌取り」の詩的教養があってこそ成立するものです。ケイト・ブッシュはテレビのドラマを見てこの歌を作ったといっていますが、原作小説の主題を見事に描いています。これはイギリス人ケイト・ブッシュの詩的教養が無くては作れなかった歌だと思います。

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